手の平にとったんを乗せてるあたしにその人は、子猫拾ったん?って聞いてきた。
奥さんと息子さんが後からやってきた。
その男の人は、その猫あなたが飼うんだったら病院連れて行ってあげるわと言う。
カラスにこらっ!って無意識に叫んだが、その瞬間にあたしに責任ができたことは分かってた。
だからといってこの子の一生を守れる自信があるわけではなかった。
近くの公園で毎日野良ちゃんの世話をしているおじさんがいた。
その日もおじさんが現れないかと待っていた。
もう時間がなかった。
ぐったりしている10センチあるかないかのこの子猫は絶対死なせたくなかった。
もう覚悟を決めないといけなかった。
いつの間にか奥さんが動物病院に電話をしていた。
休診日の動物病院の先生は連れておいでと言ったらしい。
車も出してくれた。
行くしかなかった。
先生に診てもらった。
悪いところはなかった。
ミルクでお腹がパンパンだと言われた。
全然泣かなかったのも、ぐったりしている様に見えたのもミルクでお腹が満たされて眠たいからと分かった。
かわいいなと思った。
3時間毎にミルクをあげて、その後ティッシュでチョンチョンとおしりのまわりを刺激しておしっこやうんちをさせることや、予防接種の時期を教えてもらった。
病院の帰りペットショップに寄ってくれた。
必要なものを揃えた。
子猫用の粉ミルクと飲ませるための注射器。
人間の牛乳だと下痢するなんてその時初めて知った。
とまあこういうことがすんで家に帰ってきた。
玄関で、『今日からここがお家だよ。』みたいなことを言った気がする。
その時のとったんはにおいがしてた。
野生のにおい。
さっきまでお母さんと一緒にいて、まだまだお母さんの愛情が必要なのにと思いながら小さな体をふいてあげた。
たくさんの人達の力をかりてとったんとの暮らしがスタートした。
おしまい。
たいへんなことがあったけど、毎日楽しく暮らそうね。
とったん。